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廃業と休業の税務手続きを整理する手順と費用目安

公開: 2026年6月4日
飲食店を「やめる」か「一旦止める」かで、税務手続きや費用負担が変わります。迷っている段階で両者の違いを整理しておくと、後々の判断がしやすくなります。この記事では、廃業と休業の主な違い、手続きの流れ、費用目安を具体的にまとめています。

この記事で分かること

1. 廃業と休業の定義と税務上の位置づけ

廃業とは、事業を完全に終了し、税務署へ「廃業届」を提出して青色申告の取りやめや消費税の課税事業者資格を抹消する手続きを指します。一方、休業は事業を一時的に停止する状態で、税務上は「事業を継続している」とみなされるため、廃業届は不要です。

税務署では、休業中も「事業所得の申告」が必要となる場合があります。売上がゼロでも、固定資産の減価償却費や必要経費を計上できるため、青色申告の65万円控除や欠損金の繰越が継続できるメリットがあります。※具体例は店舗の契約内容・状況により異なります。

廃業手続きを進めると、事業の「開始日」と「終了日」が税務署に明確に記録されます。これにより、青色申告の承認が取り消され、翌年以降は白色申告扱いになるのが一般的です。一方、休業の場合は事業の「継続性」が保たれるため、青色申告の承認は維持され、翌年も65万円控除の適用が可能になるケースがあります。判断に迷う場合は、税務署の窓口で「事業の継続性」について事前確認をしておくと安心です。

2. 提出書類と期限の違い(チェックリスト付き)

廃業・休業それぞれで提出が求められる主な書類と期限をまとめました。提出先は税務署・市区町村・年金事務所の3カ所が中心です。

廃業時の主な手続き(目安)

  1. 廃業届出書(個人事業の開業・廃業等届出書):廃業日から1ヶ月以内、税務署
  2. 消費税の事業廃止届出書:同上、税務署(課税事業者の場合)
  3. 青色申告の取りやめ届出書:同上、税務署
  4. 事業所廃止届:社会保険加入時、年金事務所
  5. 固定資産税の課税台帳修正:廃業後速やかに、市区町村役所

休業時の主な手続き(目安)

提出期限を守らない場合、青色申告の特例が受けられなくなる可能性があるため、管轄機関で確認をしてください。

廃業手続きチェックリスト

休業手続きチェックリスト

3. 休業中の固定資産税・減価償却の取扱い

休業中でも、店舗の建物や設備は「事業用資産」として扱われます。固定資産税は、自治体ごとに非課税基準が異なるため、休業を理由とした減免は基本的にありません。相場として、木造店舗(延床30坪程度)で年額8〜15万円程度が一般的です。

減価償却については、休業中も通常どおり計上可能です。耐用年数5年の厨房設備(取得価額200万円)の例では、定率法で初年度約60万円、2年目以降約40万円前後を計上できます。廃業の場合は、未償却残高を一括損金算入できるケースもありますが、契約内容により異なりますので専門家にご相談を。

固定資産税の内訳例(木造30坪店舗・年額目安)

項目金額(目安)備考
固定資産税8〜12万円自治体評価額による
都市計画税1〜3万円市街化区域の場合
合計9〜15万円休業中も原則減免なし

休業中の減価償却費を計上し続けると、青色申告の65万円控除を維持できる可能性があります。廃業後に再開する場合は、新規開業とみなされるため、減価償却の再計算が必要になる点に注意してください。

4. 社会保険・雇用保険の継続・終了手続き

社会保険(健康保険・厚生年金)は、休業中も被保険者資格を維持できます。休業開始時に「育児休業等取得者申出書」に準じた届出を行うことで、保険料の免除や猶予が受けられる場合があります。廃業の場合は、資格喪失届を提出し、任意継続被保険者制度を利用するか、国民健康保険へ切り替える選択肢があります。

雇用保険は、従業員を雇用している場合、休業中も継続して保険料を納付する必要があります。廃業に伴い離職する場合は、離職票の発行手続きが必要です。手続きの詳細は、年金事務所・ハローワークで確認を。

社会保険手続きの費用目安

手続内容休業時(目安)廃業時(目安)
資格継続手数料0〜3千円資格喪失届:0〜3千円
任意継続保険料(月額)-2〜4万円(本人負担)
離職票発行-0円(ハローワーク)

休業を選択した場合、保険料の継続納付が必要ですが、資格を維持できるメリットがあります。廃業の場合は、任意継続被保険者制度を利用すると、最大2年間は現在の保険料で継続できる可能性があります。詳細は年金事務所で確認を。

5. 再開・廃業を選択する際の費用比較

休業から再開する場合と、廃業後に新規開業する場合の費用目安を比較しました。

項目休業→再開(目安)廃業→新規開業(目安)
税務手数料0〜5千円0〜5千円
社会保険手続き継続(追加費用少)再加入で3〜5万円
固定資産税継続負担終了(売却時まで)
設備再取得既存設備使用100〜300万円

休業を選択した場合、設備の再取得費用を抑えられる一方で、固定資産税や家賃の固定費が継続します。廃業の場合は、設備処分や原状回復費用(相場:坪あたり2〜4万円)が発生する可能性があります。※具体例は店舗の契約内容・状況により異なります。

原状回復費用の内訳例(30坪店舗・目安)

項目金額(目安)備考
床・壁の補修30〜60万円経年劣化分は大家負担の場合あり
厨房設備撤去20〜40万円処分費用含む
クリーニング10〜20万円専門業者委託
合計60〜120万円契約内容により変動

6. 手続きを進める前に確認したい3つのポイント

  1. 現在の借入残高と連帯保証人の状況(金融機関で残高証明を取得)
  2. 賃貸契約書の解約条項と違約金の有無(契約書再確認のうえ判断を)
  3. 自治体の固定資産税減免制度の有無(市区町村役所で確認)

判断を急がず、まずは管轄機関で手続きの概要を把握しておくと安心です。

確認事項チェックリスト

よくある質問

休業中も確定申告は必要ですか?

売上ゼロでも、事業所得の申告が必要です。青色申告の特典を維持するため、毎年3月15日までに申告を行いましょう。詳細は国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」ページで確認できます。

廃業後に再び同じ店舗で開業した場合、税務上は新規扱いになりますか?

一度廃業届を提出すると、税務上は新規開業とみなされます。青色申告の承認も改めて申請が必要です。手続きの流れは税務署で確認を。

休業中の固定資産税は減免されますか?

自治体により異なりますが、休業を理由とした減免は原則としてありません。非課税基準に該当する場合は、固定資産税評価証明書を持って市区町村役所へ相談してください。

社会保険料は休業中も支払う必要がありますか?

被保険者資格を維持する場合は、保険料の納付が必要です。猶予や免除制度を利用できる可能性もあるため、年金事務所で確認を。

廃業と休業、どちらを選ぶべきか判断がつきません。

税務面だけでなく、賃貸契約や従業員の雇用契約も含めて総合的に判断する必要があります。まずは状況整理だけでも構いませんので、管轄機関や専門家にご相談ください。

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本記事について
本記事は店じまい窓口の編集チームが作成した一般的な情報提供です。実際の手続きは店舗の状況・契約内容・自治体により異なるため、具体的な判断は管轄機関や専門家にご確認ください。 店じまい窓口は、ご相談内容を整理してご案内する窓口であり、代理交渉等は行いません。
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