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飲食店 退職金 計算方法と支払い手続きの確認手順

公開: 2026年9月18日
退職金規程を設けている飲食店では、計算式・支給時期・源泉徴収の扱いを事前に整理しておく必要があります。オーナー自身が退職する場合も、従業員へ支給する場合も、就業規則や規程に沿った手続きを踏むことで後日のトラブルを減らせます。この記事では、計算の根拠となる書類の確認方法、支給額の算出例、支払い時の税務手続き、書類の保管期間まで、具体的な数字と手順を交えて解説します。

この記事で分かること

1. 退職金規程の有無と計算根拠の確認(3つのチェック項目)

退職金を支給するかどうかは、就業規則や別途定めた退職金規程に明記されているかが判断の起点になります。規程がない場合は支給義務が生じないケースが多い一方、規程がある場合はその内容に従うことが一般的です。

確認の流れは以下の3点です。

  1. 就業規則・退職金規程の最新版を入手する

- 作成日・改定日・従業員代表の意見聴取記録の有無をチェック
- 厚生労働省モデル就業規則の該当条文と照合し、記載漏れがないかを確認

  1. 計算式・対象者の範囲・支給要件を抜粋する

- 例:「最終月額基本給×勤続年数×係数(1.0–1.5)」など
- 支給対象を「正社員のみ」「アルバイト含む」など範囲で分けて記載しているかを確認

  1. 過去の支給実績と規程内容に整合性があるかを確認

- 支給事例が3件以上ある場合は、規程外の運用が慣行化していないかを確認
- 支給額が規程の1.2倍を超える事例が複数ある場合は、追加の根拠資料を残しておく

※具体例は店舗の契約内容・状況により異なります。

2. 支給額算出の基本パターンと計算例(相場レンジ付き)

退職金の計算式は店舗により異なりますが、飲食店でよく見られるパターンを3つ挙げます。

パターン計算式の例勤続15年・月額基本給30万円の場合の目安備考
基本給連動型基本給×勤続年数×1.0450万円最もシンプル
ポイント制1年あたり10ポイント×累計ポイント×単価3,000円450万円昇給反映しやすい
定額+加算定額20万円+(基本給×勤続年数×0.5)245万円中小規模店で採用例あり

計算に必要な数値は以下の通りです。

計算例(基本給連動型・勤続15年・月額30万円):
30万円×15年×1.0=450万円

勤続年数別の目安金額(基本給連動型・月額基本給30万円・係数1.0の場合)は以下の通りです。

勤続年数目安金額備考
5年150万円短期間で退職する場合の参考
10年300万円標準的な中堅層
15年450万円ベテラン層の水準
20年600万円長年勤務者の目安

※具体例は店舗の契約内容・状況により異なります。

3. 退職金支払い時の税務手続きと源泉徴収の流れ(6つの手順)

退職金を支払う場合、所得税法上の「退職所得」として源泉徴収を行う必要があります。手続きは以下の順序で進めます。

  1. 退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)の提出確認

- 従業員から提出がない場合は、退職所得控除を適用せず20.42%源泉徴収
- 提出期限は退職金支払い日の前日までが一般的

  1. 退職所得の金額を計算

- (収入金額−退職所得控除額)×1/2
- 退職所得控除額:勤続20年以下は40万円×年数、20年超は800万円+70万円×(年数−20)

  1. 税率表に基づき所得税額を算出

- 195万円以下:5%、195万円超330万円以下:10%など
- 退職所得は他の所得と分離して計算するため、税率は退職所得のみで判定

  1. 源泉徴収税額を差し引いた金額を退職者に支払う

- 支払日は給与締め日と重ならないよう調整すると事務負担が軽減

  1. 支払った月の翌月10日までに納付書で税務署へ納付

- e-Taxを利用する場合は、納付期限の3日前までに手続きを完了

  1. 支払い後1カ月以内に「退職金支払報告書」を市区町村へ提出(地方税)

- 提出先は退職者の居住地の市区町村役場

納付期限を過ぎると延滞税が発生する可能性があるため、支払い予定日を事前に把握しておくことが重要です。

4. 書類の作成・保管期間と税務調査時の対応

退職金に関する書類は、税務調査や労働基準監督署の確認に備えて一定期間保管する必要があります。

保管場所は、就業規則一式とまとめて施錠棚に保管し、廃棄時はシュレッダー処理が一般的です。

税務調査で確認されやすいポイントは以下の3点です。

保管チェックリスト(退職金関連書類)

※具体例は店舗の契約内容・状況により異なります。

5. オーナー自身が受け取る場合の確認ポイント

オーナー自身が退職金を受け取る場合は、法人からの支給として「役員退職金」の扱いになります。

役員退職金の相場目安(飲食店・売上規模別)は以下の通りです。

売上規模役員退職金の目安備考
3,000万円未満300–600万円小規模店舗の参考
3,000–5,000万円600–1,000万円中規模店舗の水準
5,000万円以上1,000–2,000万円複数店舗運営の場合

支給の可否・金額は、役員在任期間・功労度・類似事例との整合性を踏まえて判断することが一般的です。

※具体例は店舗の契約内容・状況により異なります。

6. 退職金規程の見直しを検討する場合の進め方

規程の内容が現在の店舗規模と合わなくなった場合は、以下の手順で改定を検討できます。

  1. 現行規程の問題点をリストアップ(計算式の複雑さ、係数の高さなど)
  2. 改定案を作成し、従業員代表の意見を聴取
  3. 改定版を周知し、施行日を明記
  4. 旧規程は廃止日を記載した上で3年間保管

改定時には「既存従業員の既得権をどう扱うか」を事前に整理しておくと、後のトラブルを減らせます。

規程改定チェックリスト

よくある質問

退職金は必ず支払わないといけないのでしょうか

退職金規程に支給要件が定められている場合は、その要件を満たした従業員に対して支給を検討する必要があります。規程がない場合は、支給の義務が生じないケースが多いため、就業規則と過去の運用実績を確認してください。

退職所得の受給に関する申告書を提出しなかった場合はどうなりますか

申告書が提出されない場合、退職所得控除を適用せずに源泉徴収されるため、税額が増える可能性があります。後日確定申告で還付を受けられるケースもありますが、事前に提出を促すことが一般的です。

退職金の計算に賞与や手当を含めてもよいですか

規程に「基本給のみ」と明記されている場合は含めず、「総支給額」と記載されている場合は含めるケースがあります。計算前に規程の文言を再確認してください。

退職金を分割で支払うことは可能ですか

規程に分割払いの定めがない場合は、一括払いが原則です。分割を検討する場合は、従業員の同意を得た上で、税務上の扱いを税務署や専門家に確認することをおすすめします。

退職金規程を廃止した場合、既存従業員への影響はありますか

規程廃止の効力は、廃止日以降に新たに発生する退職には及びますが、廃止日時点で既に権利が発生している従業員については、従前の規程が適用されるケースが多いため、個別に確認が必要です。

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本記事について
本記事は店じまい窓口の編集チームが作成した一般的な情報提供です。実際の手続きは店舗の状況・契約内容・自治体により異なるため、具体的な判断は管轄機関や専門家にご確認ください。 店じまい窓口は、ご相談内容を整理してご案内する窓口であり、代理交渉等は行いません。
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