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廃業時の損失繰越控除 計算手順と必要書類・期限の確認

公開: 2026年9月9日
飲食店を廃業する年は赤字になりやすく、純損失の繰越控除を検討するケースが増えています。申告を忘れると翌年以降の控除機会を逃す可能性もあるため、青色申告を前提とした計算方法・提出期限・必要書類の具体的な手順を整理しました。判断に迷う場合は管轄の税務署や専門家へ確認しながら進めることをおすすめします。

この記事で分かること

1. 廃業年の損失繰越控除の仕組みと青色申告の要件

飲食店を廃業した年は、売上減少や在庫処分、設備の除却などで赤字になりやすい時期です。この赤字(純損失)を翌年以降の黒字と相殺できる制度が「純損失の繰越控除」です。青色申告をしている個人事業主の場合、最大3年間の繰越が認められる可能性があります。

ただし、白色申告の場合や、青色申告でも期限内に申告書を提出していない場合は、繰越が認められないケースがほとんどです。廃業を決めた時点で、過去の申告が青色であったかを確認し、今年も青色申告を継続する意思があるかを整理しておくことが第一歩です。

青色申告の承認を受けているかどうかは、過去に提出した「青色申告承認申請書」の控えで確認できます。承認を受けていない場合は、廃業年の3月15日までに申請書を提出する必要がありますが、廃業が決まっている場合は期限内に申請できるかを事前に税務署で確認しておくと安心です。

※具体例は店舗の契約内容・状況により異なります。

2. 損失額の計算手順と主な費用の内訳

廃業年の損失額は、収入から必要経費を差し引いた「事業所得の金額」で判断します。以下に、飲食店で特に計上漏れや計上ミスが起きやすい費用項目と、相場感をまとめました。

費用項目内容の例目安金額の目安(年額)廃業時の留意点
減価償却費厨房機器・内装工事50–150万円未償却残高を一括除却できる場合あり
棚卸資産の評価損賞味期限切れ在庫の廃棄10–80万円廃棄証明書や写真を保管
貸倒引当金繰入売掛金・貸付金の回収不能見込額5–30万円回収不能の事実を裏付ける資料が必要
退職金・未払給与従業員への最終精算20–100万円就業規則・労働契約書を確認
違約金・補償金賃貸借契約の原状回復費用30–200万円契約書に定められた範囲か再確認

これらの費用を漏れなく計上することで、損失額が大きくなり、翌年以降の繰越枠を大きくできる可能性があります。逆に、計上を忘れると黒字申告になってしまい、繰越の機会を失うことにもなりかねません。

費用内訳のチェックリスト

3. 確定申告の手順(廃業年特有のポイント)

廃業年の確定申告は、通常の申告に加えて「廃業届出書」の提出や、減価償却資産の除却処理など、追加の手続きが発生します。以下に時系列で手順を整理しました。

  1. 廃業日を確定し、事業用資産の最終棚卸・除却を完了させる(廃業月の末日まで)
  2. 青色申告決算書(収支内訳書)を作成し、損失額を算出する
  3. 確定申告書B様式の第1表・第2表に、青色申告特別控除や純損失の金額を記入
  4. 純損失の繰越控除を受ける場合、申告書に「純損失の金額の計算に関する明細書」を添付
  5. 廃業届出書(個人事業の開業・廃業等届出書)を税務署へ提出(廃業日から1ヶ月以内が目安)
  6. 住民税・事業税の申告も忘れずに(市区町村役場へ)

申告期限は、廃業した年の翌年2月16日から3月15日までの間です。廃業が1月–6月の場合でも、申告期限は翌年3月15日まで変わりません。

申告準備のチェックリスト

4. 必要書類と保管期間の確認

損失繰越控除を受けるためには、以下の書類を揃えて申告する必要があります。書類の不備で控除が認められないケースもあるため、事前のチェックリストとしてご活用ください。

これらの書類は、申告後7年間の保存が求められます。廃業後も自宅で保管するか、クラウドストレージ等でデジタル保存しておくことを検討してください。

書類提出先・期限一覧

書類名提出先期限の目安保管期間
個人事業の開業・廃業等届出書税務署廃業日から1ヶ月以内7年
青色申告決算書・確定申告書B税務署翌年3月15日7年
純損失の金額の計算に関する明細書税務署確定申告と同時7年
減価償却資産除却資料税務署確定申告と同時7年
住民税申告書市区町村役場翌年3月15日頃5年

5. 申告を忘れた場合の影響と再申告の可能性

廃業年の申告を期限内に提出できなかった場合、青色申告特別控除や純損失の繰越控除が受けられない可能性があります。ただし、期限後申告であっても、一定の条件を満たせば青色申告を継続できるケースもあります。

また、損失が発生した年に申告をしていなくても、翌年以降に更正の請求を行うことで、繰越控除を受けられる可能性があります。手続きの可否や必要書類については、管轄の税務署で確認することをおすすめします。

期限後申告・更正の請求の流れ

  1. 税務署に電話で相談し、必要書類を確認
  2. 期限後申告書または更正の請求書を作成
  3. 追加で提出する資料を準備(領収書・台帳など)
  4. 税務署窓口またはe-Taxで提出
  5. 控除が認められた場合、還付金の入金時期を確認

6. 廃業後の税務手続きと住民税・事業税への影響

廃業後は、所得税だけでなく住民税・事業税の申告も必要です。住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、廃業年に赤字でも翌年に納税通知が来る場合があります。

事業税については、廃業した年の所得が赤字でも、均等割(年7万円程度)が課税される自治体が多いため、事前に市区町村の税務担当窓口で確認しておくと安心です。

参考:国税庁「青色申告の承認申請手続」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/02/10.htm

よくある質問

廃業した年に赤字が出た場合、翌年以降も確定申告が必要ですか?

廃業した年は赤字でも確定申告をしておくことで、翌年以降の繰越控除を受けられる可能性があります。申告をしないと控除の機会を逃す場合があるため、赤字でも申告を検討する方が多いです。

純損失の繰越控除を受けるには、青色申告である必要がありますか?

青色申告をしていれば最大3年間の繰越が可能ですが、白色申告の場合は原則として繰越が認められません。過去の申告方法を確認し、今年も青色申告を継続する意思があるかを整理しておくことが大切です。

廃業後に税務署から申告漏れを指摘された場合、どうすればよいですか?

申告漏れが判明した場合、管轄の税務署に相談し、期限後申告や更正の請求の手続きを検討することになります。状況により手続きが異なるため、早めに確認することをおすすめします。

廃業年の減価償却資産はどのように処理すればよいですか?

廃業に伴い使用しなくなった資産は、除却損として計上できる場合があります。固定資産台帳や写真、廃棄証明書などの資料を準備し、管轄の税務署で確認しながら処理を進めることをおすすめします。

住民税や事業税は廃業後も納める必要がありますか?

住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、廃業年に赤字でも翌年に納税通知が来る可能性があります。事業税の均等割についても、自治体により異なるため、事前に市区町村の税務窓口で確認しておくと安心です。

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本記事について
本記事は店じまい窓口の編集チームが作成した一般的な情報提供です。実際の手続きは店舗の状況・契約内容・自治体により異なるため、具体的な判断は管轄機関や専門家にご確認ください。 店じまい窓口は、ご相談内容を整理してご案内する窓口であり、代理交渉等は行いません。
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