店じまい窓口 / 記事一覧 / 飲食店廃業時の社会保険廃止手続き 適用事業所全喪の流れ

飲食店廃業時の社会保険廃止手続き 適用事業所全喪の流れ

公開: 2026年8月22日
飲食店を廃業する際に、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用事業所を廃止する「全喪手続き」が必要になります。いつ、どの書類をどこへ提出すればよいのか、期限や添付書類、提出先ごとの違いなど、具体的な手続きを整理しておくことで、廃業後の手続き漏れを防ぎやすくなります。この記事では、適用事業所全喪に必要な手順や書類、費用感、注意点を、飲食店オーナー向けにまとめています。

この記事で分かること

1. 適用事業所全喪とは?飲食店廃業で必要な理由

飲食店を廃業する場合、事業主が加入している健康保険・厚生年金保険の「適用事業所」を廃止する手続き(全喪)が必要です。法人で従業員を雇用していた場合や、個人事業主でも常時5人以上の従業員を雇用していた場合は、原則として社会保険の加入義務が生じています。廃業に伴い事業所が消滅するため、加入資格を失う手続きを行う必要があります。

全喪手続きは、廃業日(閉店日)に合わせて行うのが一般的です。手続きを怠ると、廃業後も社会保険料の納付義務が継続しているとみなされる可能性があります。自治体や日本年金機構の窓口で確認をしながら進めることをおすすめします。

※具体例は店舗の契約内容・状況により異なります。

2. 提出先と提出期限の目安(日本年金機構・健康保険組合)

適用事業所全喪の主な提出先は、事業所の所在地を管轄する「日本年金機構」の事務センターです。健康保険組合に加入している場合は、別途組合へも手続きが必要です。提出期限は、廃業日から5日以内が目安とされていますが、事業所の状況によって異なる場合があるため、事前に管轄の年金事務所へ確認すると安心です。

提出方法は、窓口持参、郵送、電子申請の3通りが一般的です。電子申請を利用する場合は、事前に「e-Gov」アカウントの取得と、電子証明書の準備が必要になります。郵送の場合は、到着日が期限内になるよう余裕を持って送付しましょう。

提出先の確認方法として、日本年金機構のウェブサイトにある「年金事務所の所在地・連絡先一覧」から検索できます。提出先が不明な場合は、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)へ問い合わせる方法もあります。

3. 必要な書類と記入例・提出物一覧

適用事業所全喪に必要な主な書類は以下の通りです。書類は日本年金機構のウェブサイトからダウンロード可能です。

  1. 適用事業所全喪届(健康保険・厚生年金保険)
  2. 適用事業所全喪届(健康保険組合用)※組合加入の場合
  3. 事業主の廃業を証明する書類(閉鎖事項全部証明書、廃業届の写しなど)
  4. 従業員の資格喪失届(在職者がいる場合)
  5. 保険証の回収・返納(従業員分を含む)

適用事業所全喪届には、事業所名称、所在地、事業主氏名、廃業年月日、従業員数などを記入します。記入例は日本年金機構のサイトに掲載されているので、参考にするとスムーズです。提出部数は原則2部(控え用を含む)です。

従業員が在職している場合は、資格喪失届を同時に提出する必要があります。資格喪失日は廃業日と一致させることが一般的です。資格喪失届には、従業員の氏名、生年月日、資格取得年月日、喪失理由(「事業所廃止」)を記入します。

4. 社会保険料の精算と未納リスクの確認手順

廃業に伴い、社会保険料の精算も必要になります。廃業月までの保険料は、通常、翌月末までに納付します。未納がある場合は、廃業後も納付義務が残るため、事前に未納額を確認しておくことが大切です。

確認方法は、日本年金機構から送付される「保険料納入告知書」や、ねんきんネットで加入状況を確認する方法があります。未納がある場合は、廃業前に分割納付の相談を年金事務所へ行うケースもあります。

精算の目安として、従業員1名あたりの保険料(事業主負担分)は、標準報酬月額の約15%程度(健康保険・厚生年金合算)となることが多いです。実際の金額は、従業員の報酬額や加入している健康保険組合によって異なります。

未納を放置すると、延滞金が発生する可能性があります。延滞金の利率は、年率約2.5%–9.0%程度で推移しています(令和6年時点)。延滞金の具体的な計算方法は、管轄の年金事務所で確認を。

5. 従業員がいる場合・いない場合の違いと確認ポイント

従業員が在職している場合は、資格喪失手続きに加えて、保険証の回収・返納が必要です。回収した保険証は、適用事業所全喪届と一緒に提出します。保険証を回収できない場合は、理由書を添付して提出する方法もあります。

従業員がいない場合でも、事業主本人が社会保険に加入していた場合は、全喪手続きが必要です。個人事業主の場合、廃業後に国民健康保険・国民年金への切り替え手続きも別途必要になります。

切り替え手続きの期限は、廃業日から14日以内が目安です。市区町村の国民健康保険窓口で手続きを行います。必要書類は、廃業届の写し、マイナンバーカード、本人確認書類などです。

6. 手続き後の確認事項と記録の保管

全喪手続き完了後、日本年金機構から「適用事業所全喪届受理通知書」が送付されます。この通知書は、廃業後の税務申告や、従業員の離職票発行時に必要になる場合があるため、5年間程度保管しておくことをおすすめします。

また、従業員の離職票(雇用保険)や源泉徴収票の発行も、廃業後に必要となるケースがあります。これらの書類は、廃業日から1ヶ月以内に発行するのが一般的です。

手続きが完了したかどうかを確認する方法として、日本年金機構の「事業所情報照会」サービスを利用する方法もあります。ねんきんネットにログインして、事業所の加入状況を確認できます。

よくある質問

適用事業所全喪の手続きを忘れた場合、どうなりますか?

手続きを忘れた場合でも、廃業後に日本年金機構から連絡が入るケースがあります。未納保険料が発生する可能性もあるため、廃業が決まった時点で管轄の年金事務所へ相談すると安心です。手続きの期限は廃業日から5日程度が目安とされていますが、状況により異なる場合があります。

従業員の保険証を回収できない場合はどうすればよいですか?

保険証を回収できない場合は、理由書を添付して提出する方法があります。理由書には、回収できない理由や、回収を試みた経緯を記載します。詳細は管轄の年金事務所で確認を。

廃業後に社会保険料の請求が来ることはありますか?

廃業手続きが完了していない場合、廃業後も社会保険料の請求が継続する可能性があります。未納がある場合は、延滞金が発生するケースもあるため、事前に未納状況を確認しておくことをおすすめします。

個人事業主の場合、廃業後の健康保険はどうなりますか?

個人事業主の場合、廃業後に国民健康保険への加入手続きが必要です。手続きは廃業日から14日以内が目安で、居住地の市区町村窓口で行います。必要書類は、廃業届の写し、マイナンバーカード、本人確認書類などです。

電子申請で全喪手続きは可能ですか?

e-Govを利用した電子申請が可能です。事前にアカウントの取得と電子証明書の準備が必要です。電子申請の利用方法は、日本年金機構のウェブサイトで確認できます。

関連記事

本記事について
本記事は店じまい窓口の編集チームが作成した一般的な情報提供です。実際の手続きは店舗の状況・契約内容・自治体により異なるため、具体的な判断は管轄機関や専門家にご確認ください。 店じまい窓口は、ご相談内容を整理してご案内する窓口であり、代理交渉等は行いません。
かんたん撤退診断をする匿名・無料・60秒 / 閉店を強制しません