この記事で分かること
- 解雇通知書に最低限記載すべき項目と書式のポイント
- 解雇予告の期限と、通知が遅れた場合の対応の目安
- 通知書の渡し方・記録の残し方の実務手順
- 費用負担や書類保管に関する一般的な目安
飲食店の閉店に伴い従業員を解雇する場合、解雇通知書の作成と交付は避けて通れない手続きの一つです。状況によっては「いつまでに」「どのような内容で」通知すればよいのか、判断に迷うケースも出てきます。以下では、通知書の書き方や渡し方、期限の確認手順を中心に、具体的な数字や手順を交せて解説します。
1. 解雇通知書に記載する主な項目と書式の目安
解雇通知書は、従業員に対して「雇用契約を終了する」意思を伝えるための書面です。法令で定められた厳格な書式はありませんが、内容の不明瞭さが後日のトラブルにつながる可能性があるため、記載漏れを防ぐことが重要です。
一般的には以下の項目を盛り込むケースが多いとされています。
- 通知日(例:2025年3月15日)
- 従業員の氏名・所属店舗名
- 解雇の理由(例:店舗閉鎖に伴う人員整理)
- 解雇予定日(例:2025年4月15日)
- 解雇予告手当の有無と金額(該当する場合)
- 事業主の氏名・連絡先・押印
※具体例は店舗の契約内容・状況により異なります。
書式はA4用紙1枚程度に収めるのが一般的です。手書きでも問題ないとされていますが、誤字脱字を避けるためワープロ作成が推奨されることがあります。内容は簡潔にし、感情的な表現は避けるよう注意が必要です。
記載項目の費用内訳例(A4用紙1枚あたり)
| 項目 | 目安費用 | 備考 |
|---|---|---|
| 印刷用紙・インク | 10–30円 | 1枚あたり |
| 封筒(任意) | 5–15円 | 郵送する場合 |
| 内容証明郵便(日本郵便) | 1,100円+オプション | 記録を残す場合 |
2. 解雇予告の期限と通知が遅れた場合の対応目安
労働基準法では、解雇の少なくとも30日前までに予告を行うか、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払うことが定められています。閉店日程が迫っている場合、この期限を逆算して準備を始める必要があります。
例として、4月30日に閉店する場合、3月31日までに通知を済ませるか、解雇予告手当を支払う選択肢を検討することになります。通知が30日を切る場合は、不足日数分の手当を支払うケースが一般的です。
通知が遅れた場合の対応は、以下の手順で整理されることがあります。
- 不足日数を計算(例:10日不足→10日分の平均賃金を算出)
- 手当の金額を明記した通知書を再作成
- 従業員へ説明し、同意を得たうえで交付
解雇予告手当の相場目安(月給ベース)
| 月給目安 | 30日分支給額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 20万円 | 約20万円 | 平均賃金ベース |
| 30万円 | 約30万円 | 同上 |
| 40万円 | 約40万円 | 同上 |
ただし、個別の事情により異なるため、管轄の労働基準監督署で確認することをおすすめします。
3. 通知書の渡し方と記録の残し方の実務手順
通知書を渡すタイミングは、なるべく対面が望ましいとされています。店舗の営業時間外や、従業員が少ない時間帯を選ぶオーナーもいます。渡す際は、内容を口頭で簡単に説明し、質問があればその場で答えるか、後日回答する旨を伝えるとスムーズです。
記録を残すための主な方法は以下の通りです。
- 通知書の控えに「受領日・署名」をもらう
- 内容証明郵便で送付(到達日を記録)
- メールでPDFを送信し、開封通知を設定
郵送の場合は、到達が確認できる方法を選ぶことが一般的です。内容証明郵便を利用する場合、1通あたり1,100円程度+オプション料金がかかることがあります(日本郵便の定める料金に基づく)。
渡し方・記録方法のチェックリスト
- [ ] 対面交付の日時を事前に調整済み
- [ ] 通知書の控えを2部印刷済み
- [ ] 受領印・署名欄を用意済み
- [ ] 内容証明郵便のオプション(配達証明など)を確認済み
- [ ] メール送信時の開封通知設定を完了済み
4. 解雇通知に伴う費用負担と書類保管の目安
通知書の作成・交付にかかる直接的な費用は比較的少額ですが、解雇予告手当が発生する場合はまとまった金額になる可能性があります。手当の目安は、従業員1人あたり平均賃金の30日分程度とされることが多く、月給30万円の場合、約30万円前後になるケースもあります。
保管については、解雇通知書の控えを少なくとも3年間保管することが推奨されることがあります。労働基準法に基づく賃金台帳や出勤簿と併せて管理すると、後の確認がしやすくなります。
書類保管に必要なファイル・用品の目安費用
| 項目 | 目安費用 | 備考 |
|---|---|---|
| A4ファイルボックス | 300–600円 | 1個あたり |
| インデックスシール | 100–200円 | 10枚セット |
| 鍵付きキャビネット | 3,000–8,000円 | 長期保管用 |
5. 通知書作成・交付までのチェックリスト(6ヶ月前から逆算)
閉店が決まってから通知書を準備するまでの流れを、時間軸で整理します。
- 閉店6ヶ月前:閉店方針を社内で共有、従業員数と契約内容を確認
- 閉店4ヶ月前:解雇予告の期限を逆算し、通知日を決定
- 閉店3ヶ月前:通知書ドラフト作成、専門家や管轄機関で内容を確認
- 閉店2ヶ月前:通知書の最終版を印刷、渡し方の段取りを決める
- 閉店1ヶ月前:通知書を交付、控えを保管
- 閉店当日以降:離職票の発行や源泉徴収票の準備
6ヶ月前から逆算した手順リスト
- 従業員ごとの雇用契約書・就業規則を一覧化
- 解雇予告期限を閉店日から逆算してカレンダーへ記入
- 通知書ドラフトを作成し、管轄機関で内容を確認
- 最終版を印刷・封入し、渡し方の段取りを決定
- 交付後、控えを3年間保管する場所へ収納
事前確認チェックリスト
- [ ] 従業員ごとの雇用契約書・就業規則を確認済み
- [ ] 解雇予告手当の計算方法を把握済み
- [ ] 通知書の控えを3年間保管する場所を確保済み
- [ ] 労働基準監督署の連絡先をメモ済み
6. 通知書を渡した後のフォローと再確認ポイント
通知書を交付した後も、従業員から質問が出る可能性があります。連絡先を明記しておき、必要に応じて追加説明を行うと、円滑な手続きにつながりやすいです。
再確認すべき主なポイントは以下の通りです。
- 解雇日と最終出勤日のずれがないか
- 未払い賃金や有給休暇の残日数に漏れがないか
- 社会保険の資格喪失手続きの期限(資格喪失日から5日以内が一般的)
再確認用チェックリスト
- [ ] 解雇日・最終出勤日の整合性を確認済み
- [ ] 未払い賃金・有給残日数を一覧化済み
- [ ] 社会保険資格喪失手続きの期限をカレンダーへ記入済み
- [ ] 従業員への連絡先を通知書に明記済み
これらをリスト化して管理することで、閉店後の手続き漏れを減らせる可能性があります。
※具体例は店舗の契約内容・状況により異なります。
厚生労働省「解雇に関するQ&A」も参考にすると、基本的な考え方を確認できます。
よくある質問
解雇通知書は手書きでも問題ないですか?
手書きでも法的には問題ないとされていますが、誤字脱字を避けるためワープロ作成が推奨されることがあります。内容が読みやすく、双方で確認しやすい形式を選ぶと良いでしょう。
通知が30日を切った場合、必ず手当を支払う必要がありますか?
不足日数分の平均賃金を支払う選択肢が一般的ですが、個別の事情により異なるため、労働基準監督署で確認することをおすすめします。
通知書を内容証明郵便で送る場合、費用はどれくらいですか?
1通あたり1,100円程度+オプション料金がかかることがあります。店舗の状況に応じて、対面交付やメール送信との併用を検討するオーナーもいます。
解雇通知書の控えはどのくらい保管すればよいですか?
少なくとも3年間保管することが推奨されることがあります。賃金台帳など他の書類と一緒に管理すると確認がしやすくなります。
通知書の内容に誤りがあった場合、どう対応すればよいですか?
速やかに訂正版を作成し、従業員に再交付することを検討してください。誤りが重大な場合は、管轄の労働基準監督署に相談するのも一つの方法です。